アナウンサーの近藤サトと
小説家の堀江敏幸

ヤマハ社長の中田卓也ヤマハ社長の中田卓也 Photo:JIJI

「日本一暑い街」として知られる多治見市。岐阜県の南東部にあり、電車で名古屋まで約30分で行ける。そこにある県立多治見北高校は、全国的にも珍しい「65分授業」を実施する進学校だ。

 著名な卒業生2人を、まずは紹介しよう。

 フリーアナウンサーの近藤サトがいる。低音で落ち着いた声質を生かしバラエティー番組の司会やナレーションなどで活躍している。アナウンサーには似つかわしくないとされる着物姿で登場するなど、グレーヘアと相まって映像の世界で独特の存在感を発揮している。

 近藤は1968年、岐阜県土岐市で生まれた。多治見北高校を経て日芸(日本大学芸術学部)の放送学科を卒業、1991年にフジテレビに入社した。1993~97年、「FNNスーパータイム」でキャスターなどを務め、1998年にフリーに転じた。

 以降、「真相報道バンキシャ!」など民放各局にまたがり多くのテレビ番組で、ナレーター、ゲスト、コメンテーター、司会者などとして活躍を続けている。新聞にエッセーも執筆している。

 母校の日芸で非常勤の特任教授も務め、アナウンサー実習、朗読などの実技指導もしている。

 もう一人は、多治見北高校で近藤より5期先輩の小説家、文芸評論家の堀江敏幸だ。2001年に『熊の敷石』で芥川賞を受賞した。さらに川端康成文学賞、伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞など10を超える文学賞を得ている。

 同時に、文学賞の選考委員を幾つか、務めている。ただ芥川賞については2012年から12年にわたって選考委員を務めたが、2024年1月の第170回選考会をもって委員を退任した。

 早稲田大・仏文専修出身で、東京大・仏文の博士課程単位取得、パリ大留学といった経歴だ。生粋のフランス文学者であり、2007年から早大文学学術院教授も務める。自ら小説を発表する一方、文芸評論活動も広範囲に行っている。