昨今、ビジネスにおけるデータ活用が重要であることに疑う余地はない。では、経験豊富なビジネスパーソンが身に付けてきた「勘・経験・度胸」は不要になるのだろうか。そんなことはない。勘・経験・度胸とデータをうまく組み合わせることが肝心だ。
※本稿は、『仮説とデータをつなぐ思考法』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
「成功の再現性」を高めるために、
勘・経験・度胸は不要か
勘・経験・度胸。KKDと呼ばれることもあるこの言葉、皆さんも聞いたことがあるでしょう。
業務経験を積むことで、いろいろな知識が身につきます。そして、そうした経験に基づく知識は、「勘」につながります。「確証はないけれど、なんとなく、そうなりそうだな」と思う、感じる。そういう感覚です。
「明日はお客様が少なそうだぞ」「来週はこのメニューが多く出るんじゃないか」「来月は新規のお客様が増えてくる気がする」「そろそろ、この機械の調子が悪くなってもおかしくないな」……など、ビジネスでの「勘」は、これまでの幾多の業務経験の集大成です。
この勘という感覚は、自身の経験の中で、着実に組み上げてきた「独自理論」によって得られるものです。
そして、度胸。豊富な経験から獲得した勘、いわば決断の拠りどころがあるからこそ、当てずっぽうではなく、精度の高い判断のもと、えいやっと思い切りよく決断できるわけです。
こういう仕事の進め方を「勘・経験・度胸(KKD)」と呼びます。KKDは、豊富なビジネス経験によってはじめて得られる貴重な財産です。データを茫洋(ぼうよう)と眺めていても決して得られない知見です。