あなたの勘・経験・度胸が
通用しない理由

 KKDに頼る仕事の進め方は、必ずしも悪いことではありません。積み重ねた経験、その中で得た知識を基にして磨き上げた勘は、単なる当てずっぽうとは違い、それなりの精度で物事を予測することができます。

「明日はお客様が少なそうだ」とあなたの勘がささやく時、おそらく「天気予報が雨だから」「給料日前だから」「数日後にセールが始まるから」など、その考えに至った確かな理由があります。

 こうした予測は、自分の店が、雨の日にお客様が来ない店舗立地であるとか、嗜好品的性格を持つため給料日前やセール前には買い控えが起こりがちだ、などのノウハウを経験を通じて理解しているからこそ可能です。

 このようなノウハウに基づいて、何かを予測し、それに応じて打ち手を変えるのは、極めて自然なことです。過去の成功体験・失敗体験をもとに、成功の再現性向上に貢献していると言えます。

 しかしながら、そうしたノウハウは、経験が足りない状態では、なかなか身につけることができません。経験豊富な人であっても、別の店舗に異動したりして環境が変わると、過去の勘や経験をそのまま適用することは難しくなります。また、出世して管理職になり現場を離れて数年経った場合には、現場の状況が当時と変わってしまって、現場にいたころの勘や経験が通用しないということも起こります。

 そういう「勘と経験が、そのまま通用しない状況」であるにもかかわらず、過去の自分の知見に固執して判断を下してしまうと、大きな失敗につながるリスクがあります。

Point
・KKDは単なる当てずっぽうではなく、それなりの精度で物事を予測できる。
・一方で、経験不足や、現場状況の変化などによって、KKDが通用しない場合もある。