自分の意見と異なる「偏向メディア」を嫌う層に
寄り添うリーダーが登場したら…
松本氏の性加害疑惑報道を受けて、被害を訴える女性たちを「なぜ今頃?」「売名では?」「そもそもホテルでの飲み会に自分から参加したんでしょ」などと攻撃をする人が一定数いる。
サッカーの伊東選手の性加害を告発した女性たちは、伊藤選手側から逆告訴されたこともあって、もっとすさまじい誹謗中傷がなされている。あまりにもひどい内容がゆえ、ここで引用するのも差し控えるが、伊東選手のファンだとしても、被害を訴える人をここまで口汚く罵れることに対して、恐怖さえ感じる。
実際、ジャニー氏の性加害問題の時にも、勇気を出して告発した人たちが攻撃された。中には耐えきれずに命を投げ出してしまうという「最悪」の事態も起きた。
性加害告発という「正義」を称賛し、支持を表明する人々が多くいる一方で、これを「建前的な正義」だと否定的に捉えて、「どうせハニートラップだろ」などと心ない攻撃をする人々もかなりいるという「現実」があるのだ。
そこに加えて、「メディア不信」もアメリカ並みに深刻になってきた。松本氏や伊東選手を「加害者」として報じるニュースを見るたびに「なぜメディアは被害者の話ばかりを無条件で信じるのか」とフラストレーションがたまっている人も多い。
つまり、今の日本社会は、トランプ誕生前夜のアメリカ社会と同様のムードになっているのだ。
ジェンダー平等とかMeTooとかSDGsとか、「反対しづらい正義のスローガン」が巷にあふれて、そこからちょっとでも逸脱したことをすると、社会全体で袋叩きにされるような息苦しい社会といってもいい。
そんな時、トランプ氏のような歯に衣着せぬ自由で過激な発言をする政治家が現れたらどうだろう。
ジェンダー差別発言もバンバンするし、地球温暖化をうそだとバッサリ切り捨てる。自身の性加害疑惑が報じられても、「フェイクニュースだ」と突っぱねて逆告訴をする。
今の時代、そんな政治家は「ヤバい奴」以外の何者でもないが、一方で「スッキリする」という人もかなりいるのではないか。