「性加害告発」「セクシー田中さん問題」で露呈したメディアのダブスタ…その先に待つ“恐ろしい未来”とは?2013年トロントでメディアに話す松本人志氏 Photo:Jemal Countess/gettyimages

高まる「メディア不信」
「セクシー田中さん」で窮地

 今、日本のニュースで最も目にするのは「性加害」という言葉かもしれない。

 昨年のジャニー喜多川氏の性加害問題に続いて、年明けからダウンタウンの松本人志氏の性加害疑惑の報道が続いている。

 松本氏からの性加害を証言している女性が、このタイミングで「週刊文春」の取材を受けた理由を「ジャニーズ事務所の性加害騒動を見て勇気をもらった」と述べていることからもわかるように、性加害報道は、苦しんでいる別の被害者に「告発」の背中を押す。

「週刊新潮」はサッカー日本代表の伊東純也選手から性加害を受けたという女性2人の証言を掲載したし、元俳優の若林志穂さんはライブ配信で、「Nさん」というミュージシャンから過去に違法薬物を使った性暴力を受けたと告白した。

 この流れは今後もさらに加速していくだろう。松本氏の騒動のように数年前の出来事はもちろん、場合によってはジャニー氏のように30年近くさかのぼって「性加害」が告発されていく。「え?まさかあの人が?」と国民が驚くような人物の、卑劣な性加害疑惑が発覚する可能性も高い。

 そんなムーブメントが予想されている一方で、国民の怒りや憤りとともに、静かだが確実に大きなうねりとなりつつあるのが、「メディア不信」だ。

 ジャニー氏の性加害は、かねてから週刊誌やネットでは指摘されていたが、旧ジャニーズ事務所とビジネスパートナーであるテレビや、警察発表に依存する新聞は「黙殺」していた。そういう「権力者の顔色をうかがうジャーナリズム」に不信感を抱く人が着々と増えている。

 そんな最中で、マスコミが錦の御旗としている「弱者の味方」を全否定するような悲劇が起きてしまった。

 日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」の原作者で、漫画家の芦原妃名子さん(享年50)の急死だ。