卵の除去食はあまり手間がかからないのですが、難しいのは乳製品です。たとえば製パン工場から来るパンに、脱脂粉乳が混ぜ込まれていたりすることもあります。ですから乳製品アレルギーの児童はパンの日は毎回お弁当持参、ということになります。

 アレルギー原因となる食品はひとりひとり違うので、保護者向け対応表は、児童ごとに必要です。私の勤務する小学校では内容の違うものを約30枚作成しています。命に関わることなので、何度も見直して作ります。

 以上は私のやってきたアレルギー対応の例なのですが、アレルギー対応については本当に自治体ごとに方針が大きく異なります。

 対応食を一切作らず、「今日の献立を食べられるかどうか」は保護者が献立表を見て判断することにして、給食が食べられない日はお弁当の持参を呼びかける地域もあります。

 アレルギー対応を書き込んだ献立表を、担任の先生が作るという方針の自治体についても耳にしたことがあります。

 栄養士ではない第三者の目で作ったほうが安全性が高まる、という判断だと聞きますが、ただでさえ忙しい担任の先生に負担がかかりすぎているのではないかと心配になってしまいます。

 配膳の際は、除去食や代替食だけお皿の色を変えて配膳するのが一般的です。ただ、「特別扱いしているみたいで悪目立ちする」「いじめにつながりかねない」という保護者からの要望がある場合、みんなと同じ色のお皿にして、メモをつけて除去食だと知らせるなど、現場ではさまざまな工夫をしながら対応しています。

悩ましい宗教上の食材選び
特別支援学校・特別支援学級で求められる配慮

 給食における食物アレルギーへの対応とはまた違った難しさがあるのが、宗教への対応です。日本人の児童生徒数が減少するなか、外国人の児童生徒数は右肩上がりに増えています。

 児童生徒の国際色が豊かになるにつれ、それぞれの子どもたちが宗教上の理由で食べられない食材にどこまで配慮するか、学校現場では頭を悩ませています。