ただし、これはあくまで特別支援「学校」での対応であって、通常校のなかに設置されている特別支援「学級」では、軟菜食やペースト食には対応できないケースが多いです。

 現在の給食室が通常食を作るためだけに制度設計されているため、スペースの広さや人員の数などの理由で、特別支援学級の子どもたちへの対応食を作ることが難しいのです。

 通常の給食を提供し、キッチンバサミなどで担任が切り分けられるように配慮するケースもあります。それも難しい場合には、自宅からのお弁当持参となります。

 それでも、障害のある児童生徒のために栄養士が配慮できることはあります。たとえば、献立表は献立名と使用食材が書いてあればそれでいいわけですが、知的障害のある児童には「見た目(ビジュアル)のわかりやすさ」がとても重要です。

 そのため、献立表にイラストを描いたり、給食用のイラストソフトを使用して献立のイラストを貼り付けたりすることが推奨されています。カレーライスの文字の隣にカレーライスのイラストがあることで、今日の給食がどんなものか理解できるようになるのです。

 また盲学校では、カトラリーはどれだけ数が多くなっても、必要な種類をすべて用意するのが特徴です。

 カレーライス、サラダ、ゼリーという献立なら、すべてをスプーン1個で食べることができるので、スプーンしか用意しないという学校も珍しくありません。

 しかし盲学校では、給食を手で触り、「この食器ではこれを食べる」というマナーを教えることを重視します。視力に問題がある児童にとって、給食はカトラリーの使い方を体得できる絶好の機会なのです。

 カレーにはスプーン、サラダにはフォーク、ゼリーにはデザートスプーンを用意します。正しいカトラリーを使って食べることを学んでもらうのです。

 なお近年は、このようにカトラリーを正確に使い分ける取り組みは、通常学級でも推進されています。