地形などの特徴によって
気をつけるべき災害は異なる
住宅を建てるときに重視される要素の一つが立地だ。駅近など利便性が高い立地は通勤や通学にも便利で、不動産価格(地価)も高くなる。利便性の高い都心3区、5区など東京都の中心部の地価の高騰はその典型的なケースといえる。
加えて立地面における重要な視点といえるのが「防災」だろう。豊かな自然に恵まれている日本は自然災害が発生しやすい環境にある。では「防災」を視点で土地・エリア選びをする場合に何を基軸とするべきなのか。その大きなポイントとなるのが「土地を知ること」だ。
日本列島は、山地、丘陵地、台地、低地などに区分されており、土地の特徴によって気をつけるべき災害リスクも異なる(図1)。
また、海岸近くの埋め立て地や宅地造成のための盛り土など、人為的な要素で形状が変化した場所もある。川や海などを人工的に埋めて造った所は地震で揺れやすい傾向にあり、液状化のリスクも出てくる。そして、低地では、洪水や内水氾濫による浸水、エリアによっては高潮や津波などの被害が想定される。
一方、地震で揺れにくいとされる山地や丘陵地でも、土石流や地滑りのリスクを持つことがある。家を建てる予定地にどんなリスクがあるのか、まずは自治体のハザードマップなどで確認することをおすすめしたい。必ず最新版をチェックしておこう。
ただし、ハザードマップは目安であり、家1軒単位というピンポイントのリスクがわかるわけではない。その土地の成り立ちや歴史を含め、複合的な要素を加味して地形を読み解かなければ、真のリスクは見えてこない。また現状、災害リスク(災害が起こる可能性などに関するさまざまな情報)は土地の価格と関係していない。土地の価格が高い人気の立地であっても、災害リスクが高い場所は存在する。