「減点主義ではない」と
言い切れる会社はすくない!?
ここまで「メンバーシップ型雇用」が社員に「仕事を無理強い」する雇用形態へと変貌していった経緯について見てきました。ここからは仕事やノルマを達成できなければ減点する「脅しの経営」の実態と弊害を見ていきたいと思います。
まず独自アンケート(*注2)の結果をご覧ください。
仕事でミスしたり成果を上げられなかったりした時に、人事評価や給料を下げられたり降格させられたりするような「減点主義的な処遇」すなわち「脅しの経営」がどれだけの日本企業に存在するのか、全国に住む20歳以上、49歳以下の会社員ら90人を対象にインターネットを使って調べた結果です。
「自分の会社・職場は減点主義的ではない」と思っている社員の割合は、私が想像していたよりもずっと少数派でした。
「あなたは会社・職場での社員への評価が減点主義的だと感じることがありますか?」と質問したところ、「ない」と明確に回答した人は40人で44.44%に過ぎなかったのです。
会社員の多くは成果目標を課されています。それが自分で設定した目標であれ、上司が指示した目標であれ、達成すべきノルマであることに変わりはありません。加えて会社員の多くは、人件費の削減を目的とする“似非”「成果主義賃金制度」によって査定され、給料を決められています。しかも「メンバーシップ型雇用」のもとで、しばしば望まない部署や職種での仕事を強いられます。
そんな社員にとって、それでも何とか前向きに毎日の仕事に向き合おうと自分を叱咤できる術があるとすれば、それは「自分の会社・職場は減点主義的ではない」と確信できることだけではないでしょうか。
しかしそんな確信を持てる社員は5人に2人強に過ぎませんでした。
一方「ある」は22人で24.44%でした。4人に1人が、「会社・職場での社員への評価が減点主義的だと感じている」つまり「脅しの経営」だと感じているのは由々しき状況だと思います。