また「どちらとも言えない」は28人で31.11%でした。この数字も問題を含んでいます。「減点主義的な処遇」があるのかないのかわからない企業では、もしかしたら「減点主義的な処遇」をされてしまうかもしれないという不安を拭いきれないからです。

日本の会社員はなぜ「やる気」を失ったのか同書91ページより


 では具体的にはどんな「減点主義的な処遇」があるのでしょうか。独自アンケートの結果から実態を見ていきたいと思います。まず「あなたは会社・職場での社員への評価が減点主義的だと感じることがありますか?」という質問に「ある」と答えた人たちに「それはなぜですか」と複数回答で聞いたところ、以下の結果になりました。

●仕事でミスすると社員個人が叱責されるから 11人 50.00%

●ミスをしたり成果が上がらないのはそもそも部署や会社など組織の問題なのに、それを改善しようとしないから 10人 45.45%

●成果を上げられないと社員個人が叱責されるから 9人 40.91%
仕事でミスすると人事評価を下げられることがあるから 9人 40.91%

●期待された成果を上げられないと人事評価を下げられることがあるから 8人 36.36%

●仕事でミスすると減給もあり得るから 8人 36.36% 

●仕事でミスした社員に再チャレンジの機会を与えないことがあるから 7人 31.82%

●仕事でミスすると降格人事もあり得るから 6人 27.27%

●期待された成果を上げられないと減給もあり得るから 6人 27.27%

●期待された成果を上げられないと降格人事もあり得るから 5人 22.73%

●その他 1人 4.55%(39歳の男性が「個人の意見を聞かない、個人の考えを全否定するから」と自由回答欄に記入)

個人のミスや成果が上がらないのは
組織の仕組みの問題によるもの

 これらの回答から浮かび上がってくるのは、仕事でミスしたり成果を上げられなかったりした時の責任を、ほとんどすべて社員個人に負わせ、人事評価や給料に反映させる無責任なマネジメント(経営・管理)の実態です。

 ミスが発生したり成果が上がらなかったりする真因は、実は組織に潜んでいます。