「建立900年 特別展『中尊寺金色堂』」が驚愕の展示だった。国宝の仏像11体に加えて、重要文化財の記録文書や工芸品など、奥州・藤原氏の栄華を伝える財宝の数々に圧倒された。さらにすごかったのは、最新技術を駆使した金色堂の再現だ。超高精細な8KCGという技術で、実物よりはるかに美しく、900年前をそのまま再現しているかのようだった。(コラムニスト 坪井賢一)
中尊寺金色堂を8KCGで再現
“がっかりな実物”より、はるかに美しい!
東京国立博物館で開催されている「建立900年 特別展『中尊寺金色堂』」(4月14日まで)に足を運んだ。数々の国宝に圧倒されたのはもちろん、実物大の金色堂を8K画像データ超高精細CG(8KCG)で再現した展示に驚愕した。
本館の特別5室にある会場には藤原清衡の須弥壇(仏像の台)が置かれ、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩、地蔵菩薩6体、それに増長天と持国天が、よく見えるように個別に設置されていた。須弥壇から降ろされ、いずれも黄金に輝いている。狭い須弥壇から大きな展示室に分散されているので、前後左右、細部まで見ることができる。
金色堂の8KCG再現は、外観の投影で始まり、扉が開くと中央の藤原清衡壇、右手西北の基衡壇、
実物よりリアルとは言えないが、実物よりはるかに美しく、心を揺さぶられた。岩手県平泉町の中尊寺金色堂を訪れた人はわかるだろうが、実物を見ると案外がっかりする。観光地の有名な神社仏閣、名所旧跡で失望する景観は多々あるが、金色堂もその一つだと思うのは筆者だけではなかろう。