新日本酒紀行「鷹勇」酒蔵外観 Photo by Yohko Yamamoto

若手が元気に醸して好調!地元産米で造る辛口の純米吟醸酒

 中国地方最高峰の大山の東北側にある船上山は、平安時代に山岳仏教が栄え、後醍醐天皇の倒幕きっかけの地だ。その麓の琴浦町で、1872年に創業した大谷酒造は、山々からの豊かな伏流水を使い、地元産の山田錦や強力(ごうりき)、玉栄(たまさかえ)などを主に、食事に合う辛口酒を醸す。代表作は「鷹勇 純米吟醸 なかだれ」で、2007年まで杜氏を務めた「現代の名工」で出雲杜氏の坂本俊さんの味を代々受け継ぐ。今の杜氏は、18年に36歳の若さで抜てきされた中元啓太さん。広島県の大手蔵にいたが、手造りで醸したいと大谷酒造へ飛び込んだ。