毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」だ。
今年のテーマは「少食で腸活」。主催者の日本生活習慣病予防協会が提唱する、腹八分目とバランスの良い食事で腸内環境を整えようという意味があるそうだ。
近年、腸内細菌のゲノム解析が叶い、個々人の腸内細菌叢の構成比(エンテロタイプ)を調べられるようになった。エンテロタイプは食生活や生活習慣の影響を反映するため、逆算して健康管理に役立てる試みが始まっている。
京都府立医科大学の研究グループは、日本人1803人の糞便検体からエンテロタイプを解析。その結果、日本人の腸内細菌叢は、A~Eの五つのタイプに分類されることが判明した。
食事との関連でみると、タイプAは「ルミノコッカス科」の細菌が多く、高タンパク・高脂質の肉食好きタイプ。
タイプBは「バクテロイデス属」と、健康に良い酪酸を産生してくれる「フェカリバクテリウム属」が多く、肉も魚も野菜もバランスよく食べるタイプだ。
タイプCは「バクテロイデス属」は多いが、肝心の「フェカリバクテリウム属」の比率が低い。ご飯ものなど炭水化物に偏り、脂肪やその他の栄養素が不足がち。
タイプDは、「ビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌)」が平均より大幅に多く、高タンパク・高脂質、何より果糖や砂糖の摂取量が多い傾向がある。
そしてタイプEは、玄米食などで増えやすい「プレボテラ属」の比率が高く、ヘルシー食嗜好だ。脂肪不足が若干、気になるところ。
疾病との関連では、予想通りにエンテロタイプBとEで健康な人が多かった。生活習慣病持ちが多かったのはタイプAで、Eと比較すると、糖尿病の有病率は12.5倍、高血圧は11倍も多いという結果が出ている。
研究者によると、脂っこいものや動物性タンパク質を好む食習慣の影響を指摘したうえで、「バランスの良い食事を摂るように心がければ、8週間ほどで腸内環境は改善できる」という。
この2月、「少食で腸活」を実践してみませんか。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)