「なんとなくだるい」は”腸漏れ症候群”かも?体内に異物が侵入し続ける怖い病気腸に良いからといって、同じものばかり食べるのは逆効果⁉︎ (写真はイメージです)Photo:PIXTA

腸は、いらないものを体外に排出するという重要な働きを持つ臓器。もしその働きに不具合が起こったらどうなるのか。多い人で50兆個存在するといわれる腸内細菌の働きや、本当に意味のある「腸活」について、第一人者に聞きました。(取材・文/コスメライター Akari)

リーキーガット症候群とは何か
体の不調を引き起こす「漏れ」の原因

「腸活」とは、生活習慣などを見直して、腸内環境を整えることです。腸には、食べ物を消化・吸収・排せつする働きがあります。さまざまな腸内細菌が存在していて、栄養素の提供や食べ物の分解、さらには、病原体が増えるのを防いだりしています。「腸内環境を整える」とは、腸内細菌を含めた腸の働きを良くすることです。

 医薬基盤・健康・栄養研究所ヘルス・メディカル微生物研究センターでセンター長を務める國澤純先生に、腸活によって改善される症状を伺いました。

「代表的なものに、リーキーガット(腸漏れ)症候群があります。リーキーガットとは、腸壁のバリアが緩くなった状態です。腸が持つ本来の役割は、必要なものを吸収しつつ不要なものは体内に入れないこと。腸壁のバリアがもろいと、本来なら体内に入ってこないものまで、腸から入ってしまいます」

 腸から体内に異物が侵入すると、免疫細胞が活発化。これが続くと「慢性炎症」を引き起こす可能性があります。感染症などで免疫が急激に活性化する「急性炎症」に対して、軽度の炎症が長期にわたりダラダラと続くのが慢性炎症です。脳へ悪影響を及ぼしたり、糖尿病、心臓病などのリスクを高める可能性も示唆されています。

「慢性炎症は、特定の場所が悪いというわけではなく、体が全体的に病気にかかりやすくなっている状態です。そこに別の要因が加われば、さらに、さまざまな病気にかかりやすくなります」

 みなさんも「なんとなくだるい」と感じる時があるのではないでしょうか。こうした不調は、リーキーガットが原因かもしれません。

「腸のバリアを強固にするには、短鎖脂肪酸をつくることが重要です。短鎖脂肪酸とは、腸のエネルギー源。バリア機能と腸のぜん動運動が正しく行われたら、食べ物の消化・吸収・排せつがスムーズになり、リーキーガット症候群になる危険性も低くなります。そのためにも短鎖脂肪酸をつくりやすい環境づくりが重要です」