詐欺グループが春節休みから戻ってきた。中国や東南アジアで用いられる旧暦の正月を指す春節。この時期に急減するSMS詐欺が、春節が終わった途端に一気に戻ってくる。今年は春節が明ける1日前の2月16日から詐欺グループが活動を開始したという。そろそろ手元のスマホにメッセージが送られてきても不思議ではない。SMS詐欺について「詳細な騙しの手口」と「情報を守るために絶対にやってはいけないこと」についてセキュリティリサーチャーの柘植悠孝氏に話を聞いた。(聞き手・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)
――旧暦の正月にあたる春節の時期にSMS詐欺が減るようですね。
私たちが統計を取り始めてからは、毎年その傾向にあります。2023年における宅配系SMS詐欺の件数を示したデータがこちらです。春節中にほぼ0件となりますが、春節明けには春節前の水準まで一気に戻ります。
サイバーセキュリティ月間に合わせてつくった特設サイトでは、リアルタイムでSMS詐欺の発生件数を確認することができます。
2024年の春節は2月17日までですが、ちょうど取材を受けているまさに今(16日13時47分30秒ごろ)、詐欺集団によってSMSが送られはじめました。今年はすでに、詐欺グループが動き始めています。今からお話しすることを参考にしながら、被害にあわない方法を確認してください。
――SMS詐欺とはどのようなものですか?
代表的な手口を2種類ご紹介します。
1つは、不正アプリのダウンロードによってマルウェアという悪意のあるソフトウェアに感染させるものです。マルウェアに感染すると、情報を抜き取られたり、スマホを乗っ取られたりします。犯罪グループによって遠隔で勝手にSMSを送られてしまうなど、自分のスマホが他人をマルウェアに感染させるために悪用されることもあります。
もう一つが、クレジットカード情報やIDやパスワードといったログイン情報をだまし取るフィッシング詐欺です。大手企業や自治体になりすました偽サイトに誘導して、情報を入力させようとしてきます。
具体的な手口は、SMSによってリンクを送り付けてくるものがほとんど。クリックした先で不正アプリをダウンロードさせたり、偽サイトに情報を入力させるのです。