「権力」「地位」についても同じようなことがいえます。権力や地位があれば、少しくらいのアクシデントや問題が起きたとしても「なんとかなる」「大丈夫」と思えるのではないでしょうか。

 窓口で、「アルバイト」には理不尽なことで文句をいうお客様がいたとしても、自分が「部長」なら、なんとか対応できると思えるものです。

「権力」(この場合、権限)や「地位」があると、解決できる範囲が広いものです。「権力」や「地位」を活用して「解決できる」「なんとかなる」と思えるのも、処理可能感なのです。

経験や学ぶことの重要性

 また「経験」や「知力」も「なんとかなる」と思えるかどうかに与える影響が大きいです。これらは「把握可能感」とも連動しています。

「経験」や「知力」によってある程度状況を理解でき、先のことが予測できると(把握可能感)、「なんとかなる」という処理可能感につながりやすいのです。

 例えば、面倒な取引先が多い難しい現場に放り込まれたとします。新卒3年目で難しい現場に慣れていない人と、多くの現場を担当し、取引先と交渉を重ねて立て直してきた経験がある社歴15年の人、どちらが「なんとかなる」と思えるでしょうか。

 もちろん後者です。これは、「経験」が知恵となって蓄積され、力になっているからです。こうした経験に基づく「なんとかなる」という確信も「処理可能感」です。

 いろんな経験を乗り越え、その経験を知恵として身につけた人は、「これまでの経験上、なんとかなる」とどっしり構えていられるものです。

「知力」は、経験から得られるのはもちろんですが、人の話を聞いたり、本を読んだりして、「学ぶ」ことでも備えられるものです。

 例えば、詐欺事件に巻き込まれたとします。こうしたときに、以前似たような話を人から聞いていたり、あるいは本を読んで知識をもっていたりしたなら、少しは余裕をもって対処できるはずです。最初にどういった行動をすべきか、どこに相談すべきかがだいたいわかっているので、「なんとかなるだろう」と思えるのです。