たとえ未知なものでも、それを自分なりにまあまあ理解できたり、ざっくりと説明がつく、予測がつくと思えたりすれば、そこまで恐れを感じません。今回は“だいたいわかった”という感覚、「把握可能感」について紹介します。
首尾一貫感覚を高めるのに大切な人生経験とは
人生のさまざまな場面でやってくるストレスに対して、うまく対応していく力、それが首尾一貫感覚です。
この首尾一貫感覚は、生まれつきの能力(先天的能力)ではなく、育っていく過程で後天的に獲得していく能力です。したがって、自分の努力で後天的に高めることができるとされています。
本稿では、首尾一貫感覚を高めるレッスンの一部をお伝えしていきたいと思います。
首尾一貫感覚を提唱したアントノフスキー博士は、この感覚を高めるためには、次のようなことが大切だと述べています。
舟木彩乃 著
これをもう少しわかりやすく首尾一貫感覚を構成する3つの感覚について具体的に説明すると、次のようになります。
把握可能感:みんながお互い理解している価値観や明文化されたルールに基づく人生経験、一貫性のある、統一性のある人生経験
例:「ここまでの成果を達成すれば昇格できる」といったような明文化されたルールの下で仕事をする
処理可能感:小さすぎず大きすぎず、バランスのとれた適度な負荷のかかる人生経験
例:少し難易度が高い資格取得など、努力すれば乗り越えられる程度のストレスがかかる挑戦をする
有意味感:よい結果、望ましい結果が得られた出来事に自分自身も参加・参与したという人生経験
例:賞を獲ったチームプロジェクトに自分も参加していた
こうした人生経験を重ねることが、首尾一貫感覚の3つの感覚、把握可能感・処理可能感・有意味感を高めることにつながるのです。まずは、本章のテーマである「把握可能感」からみていくことにしましょう。