一方で、「資料のコピーを100枚、15時までに」などのようなストレスのほとんどない仕事で成功しても、これもまた処理可能感を育みにくいといえます。
大きすぎず、小さすぎないストレスのかかった仕事を経験し、うまくいくことによって育まれるのが処理可能感です。
「できた体験」から培われる
この「成功体験」は、人に助けてもらった結果でもかまいません。あるいは、座学で学んだ疑似体験であったり、人に教えてもらったりしたものでもいいのです。
例えば、一人で仕事を抱え込んでしまって終わりが見えず、「どうしよう」とパニックになっていた社員Kさんのケースです。
上司から「あの仕事は、今日が締め切りでしたよね。どうなっていますか?」と聞かれて、Kさんは「実は、ほとんどできてません……」と答え、泣きつきます。
舟木彩乃 著
ここで上司は、「そうか、じゃあみんなで手伝って仕上げようか」と言って、他の社員に仕事をふったり、締め切りを数日遅らせたりして、テキパキと指示を出します。
数日後、仕事は、同僚や先輩に手伝ってもらいながら、無事に終わりました。たしかにKさんは、自分ひとりでは仕事が終わらず迷惑をかけてしまいましたが、みんなで無事に終わらせたことで「成功体験」「できた経験」になっています。
結果、Kさんは、「早めに他の人に助けを求めること」「わからないことは人にきくこと」「必要なときは上司の力を借りること」などを学んでいきます。
こうした体験からも、「こうすれば、次もできる」といった「なんとかなる」感は培われていくのです。