これまで、ストレスにうまく対処する3つの力「首尾一貫感覚」の“把握可能感”と“有意味感”について紹介しました。今回は、3つめの力“処理可能感”について解説します。
「資源」を活用して乗り越える
本稿では、「処理可能感(Sense of Manageability)」についてお話ししたいと思います。処理可能感は「なんとかなる」「自分はなんとかできる」というように思える感覚です。
私がカウンセリングをしていて、打たれ弱い人、ネガティブな思考にとらわれている人、ストレスフルな状況にいる人などは、この感覚が弱いと感じます。
この「なんとかなる」をもっと詳しくいうと、
「自分にふりかかるストレスや障害に対処できるという確信」
「問題を抱えたり、トラブルが起きたりした場合にも、自分やまわりの助けを借りながら、乗り切ることができる自信」
などといえます。
そして、なぜ「なんとかなる」「なんとかできる」「乗り切ることができる」という感覚をもてるのかというと、乗り越える際に必要となる「資源」があるからです。
「資源」には、「人脈」「知力」「経験」「お金」「権力」「地位」などがあります。この「資源」はもっていることも大切ですが、タイムリーに引き出せることが重要です。
仲間と武器が重要
私自身は、この「資源」を説明する際に「仲間と武器」という言葉をよく使います。「仲間」は、「人脈」のことです。つまり、人、人間関係ですね。
仕事でピンチに陥ったとき、メール1本で「今、困っていて。これについて何か情報ないかな?」などと聞ける仕事仲間がいたり、「どうしましょうか」と相談したら一緒に考えてくれる上司がいたりすると、「なんとかなる」と思えるものです。
一方で、ブラック企業に勤めてしまって、相談できる相手もなく、上司も「自分でなんとかしろ」と言うだけだったりすれば、「なんとかなる」とは思えず、「どうしたらいいんだろう」「もうイヤ……」という気持ちになるはずです。
「武器」についていえば、「知力」「経験」「お金」「権力」「地位」などがあげられます。
例えば、「お金」です。自分が担当しているプロジェクトで部下が大きなミスをして損失を出した場合、ギリギリの低予算でやっているなら、「お金が足りない、どうしよう」となりがちです。一方で、自分に任されている予算(お金)が大きければ、「その程度のミスならなんとかなる」と思えます。