デジタル化する韓国のソウルPhoto by Kazutoshi Otani

筆者は先日、所用と観光を兼ねて約4年ぶりに韓国のソウルを訪れた。欧米に拠点のある企業の取材もリモートでの対応が多くなった昨今、今回の渡韓は、新型コロナウィルス禍に見舞われて以降、初めての海外渡航でもあった。サムスン電子やLGエレクトロニクスのお膝元でもある韓国は、日本よりも社会のIT化が進んでいることが知られている。数日のソウル滞在の間に見聞きしたデジタル事情と比べると、残念ながら日本はかなり遅れていると言わざるを得ない。(テクノロジーライター 大谷和利)

サムスンは折りたたみスマホのマーケティングに注力
縦開き・横開きの2種類

 韓流の刑事ドラマでは、食事をインスタントラーメンで済ませるような新米刑事まで高価な折りたたみスマートフォンのGalaxy Flipを使っていたりして、あからさまなプロダクトプレイスメント(番組内に製品を登場させる間接広告:以下、PPL)に苦笑することがある。

 実は、韓国のTVドラマは放送法の規定で途中にCMを入れることが禁じられており、制作側の収益面ではPPLの比重が高い。CMが挟まれない分、ストーリーに集中できそうだが、劇中の役には不釣り合いな製品を使用していたり、登場人物が急に化粧品や炊飯器を褒め始めたりするので、思わずツッコミを入れたくなる。

 中には、そういうシーンの小道具にPPLの文字が配されている(たとえば、カフェで座っている3人の客が、それぞれ「P」「P」「L」のレター入りトレーナーを着ているなど)、正直というかある意味開き直った演出を行うドラマまであった。

 そんなPPLで見かけることの多いGalaxy Flipだが、メーカーのサムスン電子は、ロシアのウクライナ侵攻などによる消費の冷え込みの影響で2022年に大幅減産を強いられた結果、シェアを拡大するよりも利益率の高いモデルに注力する方針を進めている。そのため、販売面ではたためないGalaxy Sシリーズに及ばなくても、縦開きのGalaxy Flipと横開きのGalaxy Foldのマーケティングに力を入れていくようだ。ただし、中国のOPPOも、Android製品の中で差別化を図るために自らが先行した縦開きのFlipタイプのスマートフォンに力を入れていくと公言しており、もしも価格競争になると苦しい戦いを強いられる可能性もある。