「食事は、週7で外食か弁当」「家族に任せっぱなし」「いざ作っても、正解がわからない!」──便利な時代になろうと、現代人の料理の悩みは尽きません。自炊上手になれば、自分の好きな味を食べられ、家計節約、健康管理もできるなどいいことずくめ。それをわかっていても、料理を始めるきっかけが作れない人も多いでしょう。
少ない材料で作れる/時短/ボリューム満点と3拍子そろったイタリア料理こそ、自炊の突破口だと提案するのが『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』。本書は、料理人人生60年のイタリア料理の伝説シェフ・落合務氏の集大成にして入門レシピ本ひとりでも家族でも作りやすいパスタ、肉料理、野菜レシピ、ドルチェまで56品を紹介。プロのシェフとして、ときに家庭人として、同じ料理を何度も作ってきた百戦錬磨のコツを教わります。

プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン

パスタは一生モノの自炊スキル

「パスタぐらい作れるよ」っていう方も、今さら……なんて思わないで、僕が紹介する方法をぜひ試してほしいんです。「えっ、おいしさがまるで違う!」と思ってもらえるはず。基本をしっかり押さえつつ、身近な材料を上手に使って、ラクして、プロの味になるパスタの極意を教えます。

 まず一番大事なのは「ソースは待ってくれるけど、パスタは待ってくれない」ということ。つまりソースが完成する目鼻がついてから、パスタをゆで始めるんですよ。ちなみに僕は1.5mmのスパゲッティを使っています。日本人好みの太さで、どんなソースにも合いやすいからです。

味がピタリと決まる! パスタの「ゆで方」

 パスタは水2リットルに対して、塩30グラムを入れる。塩をしっかり利かせた湯でパスタをゆでることで、パスタに塩分がつきます(パスタは麺じたいには塩を含みません)。ほどよく塩分のついたパスタをソースと合わせることで、そこで味がピタッと決まるんです。

 塩を少ししか入れない湯でパスタをゆでて、ソースに塩分を利かせてもちっともおいしくないんですよ。だから1人分のパスタをゆでるなら、水2リットルを沸騰させて、塩30グラムを入れてほしい。2人分をゆでるなら、水3リットルを沸騰させて塩45グラム。

 ゆで時間は表示よりも30秒~1分短めに。表示の時間はあくまでも「パスタがおいしく食べられる火の通り時間」。パスタはお湯から引き上げてからも、ソースとあえている間や、食卓へ運ぶ間に余熱でどんどん「火が入る」。その時間を見越して30秒~1分早く、お湯から引き上げるわけです。

「パスタは炒めものじゃなくて、あえもの」

 ソース作りも大切だけど、きっと、みなさんが手こずるのは仕上げだと思うんですよ。パスタとソースを合体させるプロセス、ここがたぶんうまくいっていない。大事なのは、必ず火を止めてパスタをソースとあえること。パスタは炒め物じゃなくて、あえものです。

 合体がうまくいかないと思ったら、すりごま、バター、チーズなどの「乳化剤」を入れる。そうしてトングでくるくると混ぜれば、乳化が起こってパスタとソースがくっつく。これで必ずおいしいパスタが食べられます。

(本稿は書籍『プロの味が最速でつくれる! 落合式イタリアン』の一部抜粋・編集したものです)