ところがそれに気づかず、何とか芽を出させようとして、なだめすかしたり、脅してみたり、昇給や昇格といったごほうびをちらつかせて懐柔したりと、いわゆる化学肥料を投入すると、見た目は芽吹いたように見えても、人間としての根が深くないため、とても弱い状態に成長します。

 弱さゆえ、時として友達をいじめたり、逆にいじめられたり、少しのつまずきで立ち上がれなくなったり、さらに深刻なケースではゲームやギャンブル、ひいてはホストクラブや宗教に徹底的にのめりこんだりします。

 それを見て、たとえば罰という農薬を与えたりすると、たとえ症状が収まったように見えても、今度はクスリに手を出したりしてしまいます。ここまでくると人生は壊れてしまいます。

 このボタンの掛け違いを未然に防ごうと思うなら、そしてあなたがボタンの掛け違いに気づいたなら、とにかくこの自然の法則をたくさん知ってそれを味方につける行動をとることです。

 気づけば、あなたは真の豊かさを手に入れているでしょう。

手放せば手に入り、与えれば返ってくる

 次に紹介する言葉は、社会に巣立つ教え子が「はなむけの言葉」を求めてきたときに、最重要法則として伝えていたものです。

「自然は独り勝ちを許さない」

 何らかの理由で草食動物が増えたとします。しかし、この現象がいつまでも続くことは決してありません。なぜなら、多くの草食動物に食べられることで当然植物は減少していきます。

 餌としての草食動物を捕食する肉食獣は結果的に増加します。食料が減少し、敵が増加するので、やがて草食動物の個体数は減少に転じます。ところが、この現象もいつまでも続かない。今度は植物が増え、肉食獣が減るからです。

 このように自然界は決して独り勝ちを許さず、バランスをとる方向へと自ずと調整するようにできています。

 人間は自然の一部なのでこの法則は人間界も支配します。つまり人間の世界でも独り勝ちは許されず、バランスがとられる方向へと物事は推移するのです。