「すみません」を言い換えるだけで幸せに!魔法の“ポジティブワード”とは写真はイメージです Photo:PIXTA

資本主義社会では、経済的・物質的な豊かさばかりにとらわれがちだ。では、本当のこころの豊かさとはいったい何なのか?一般社団法人givを設立し、「お金を介さない非貨幣社会の仕組み」づくりに取り組む西山直隆氏の著書『こころのウェルビーイングのためにいますぐ、できること』(BOW BOOKS)より一部抜粋し、本質的な幸福について考えてみよう。

科学の進歩で“幸せ”が明らかに
脳内物質(ホルモン)から見る幸せ

 私たち人間の感情は脳で判断されている。脳から出る脳内物質(脳内ホルモン)が感情をコントロールしているのだ。脳からは、常にたくさんのホルモンが放出されている。

 本書のテーマでもある“幸せ”と特に関連が高いホルモンは、「ドーパミン」、「セロトニン」、「オキシトシン」、「エンドルフィン」など。米国カリフォルニア大学バークレー校と米国コロンビア大学の研究者によって“幸せホルモン”として定義されたものだ。

 ドーパミン 脳の報酬系に関与し、喜びを感じるのを助けている。よく食べ、よく眠り、音楽を聴くことで、ドーパミンにプラスの影響を与えることができる。

 セロトニン 気分を高め、睡眠を調節するのに役立つ。エクササイズ、日光浴、マッサージ、よく食べることで、セロトニンにプラスの影響を与えることができる。

 オキシトシン 他の人と交流するときに生成され、「愛のホルモン」と呼ばれる。愛情を示す、人とつながる、人と共有することで、オキシトシンにプラスの影響が与えられる。

 エンドルフィン 脳の自然な鎮痛剤として知られている。笑う、運動することなどで、エンドルフィンを高めることができる。

 厳密にはこれらのホルモン以外にも多くが存在するが、主にはこの3つないし、4つのホルモンが、脳に幸せを感じさせる上で大事だとされる。

 精神科医の樺沢紫苑(かばさわしおん)氏は著書『精神科医が見つけた3つの幸福』において、この中でも特に、「健康」を得るためのセロトニン、「つながり」を得るためのオキシトシン、「お金、成功」を得るためのドーパミンの3つのホルモンに重きを置いて、“幸せの三段重理論”としてわかりやすく説明している。

 中でも特筆すべき点は、幸せを得るためには順番が大事であるという点だ。

 セロトニン的幸福→オキシトシン的幸福→ドーパミン的幸福の順番が大事であり、何よりもまず健康やつながりといった、幸福の基礎、土台となる部分をしっかりと固めることが大事だというのだ。これを疎かにした状態で「お金、成功」を求め、その他の健康や人間関係などを犠牲にしてしまうことから、結果的に精神疾患が生まれているという。

「ドーパミン」は目標達成や自己成長に大切な要素であることは間違いないものの、これに重きを置きすぎると他の「セロトニン」と「オキシトシン」が犠牲になってしまう。またドーパミンは持続性がなく、単発的に発生し、時間とともに早々に消え失せてしまう。

 さらには、人はその興奮を欲し、もっと欲しいというあくなき欲求の渦に巻き込まれてしまう可能性すらある。この渦に巻き込まれることによって、依存症がひきおこされているとも言われている。