たとえばマンゴーという果物は極寒の地では育ちません。これもどちらが良いとか悪いとかではなく、発芽条件と気候風土が合っていないからです。これは自然の法則です。

 もし、それに気づかず、その種を何とか育てようとして、たとえば化学肥料などをやったりするとどうなるか。この時点ですでに自然の法則に逆らっているわけですが、それによって奇跡的に芽が出たとしましょう。

 この植物は地中深くまで根が伸びません。伸びなくても肥料によって栄養をもらえるからです。

 すべての植物は根が伸びきってから発芽します。根が浅い段階で芽が出るこの植物は、地上から見ると成長速度が速くなったように感じます。しかし根が浅いのでとても弱く、台風が来ると簡単に倒れます。しかも弱いから病気や害虫に徹底的に狙われます。

 すると今度は農薬をまく。メリットを探すなら収穫効率がいいということでしょうか。しかし、農薬が健康にいいわけがありません。天秤にかけたときにどちらを選ぶかは人それぞれですが。

良い人材が育たない自然のしくみ

 さて、このように自然に逆らってできた果物は、数週間放置するとカビが生えて、腐って異臭を放ちます。

 実は自然のものは腐りません。枯れるのです。秋になれば野山は腐らずに枯れます。だから、腐るということは不自然であることの証左なのです。

 根が深く張る土壌においてやれば、時間はかかっても自然と芽は出ます。そして芽が出たなら、もちろん適度な日照時間の確保や水分補給等のサポートはあるとよいでしょうが、化学肥料や農薬などに頼らなくても、すくすくと育つはずです。

 なぜなら、すべての命は適切な環境下に置かれれば、自己免疫を身につけ、育とうとするからです。特に根が深く張っていれば、暴風にも害虫にも負けることなく成長します。これは自然の法則なのです。

 これを人に当てはめてみましょう。その人本来の力が芽吹かないのは、才能の開花条件と家庭や学校・職場の組織風土が合っていないからです。もちろん、どちらが良いとか悪いとかいう問題ではありません。