これまで、さんざんがんばってきたわけですから。戦争のつらい時代も乗り越えました。焼け野原だった日本を復興させました。地震や災害、オイルショック、バブルの崩壊、そしてコロナ……。苦難を数え上げたらキリがありません。

 そんな時代に生き、何度も折れそうになりながら、家族を養い、会社や社会を支えてきたのです。これからは思う存分“自由気まま”に生きていいと思うのです。

 たった一度の人生ですから、生きたいように、自分らしく生きたらいいと思いませんか?

 仮に「我慢か、満足か」の選択で迷うなら、満足できるほうを選んだほうが正解だと思います。なぜなら、そのほうが生命力や治る力も高まるからです。もちろん、いくら好きだからといってお酒を浴びるほど飲む、というのでは逆効果になってしまいますが。

「自律神経」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「生命を維持し、体を整えてくれる神経」のことです。たとえば、呼吸をする、体温を保つ、心臓を動かす、血圧を上げたり下げたりする、食べ物を消化する、なども自律神経の働きによるものです。

 自律神経が正常に働くと、体は正常に機能しますが、うまく働かなくなると、不調が出たり、病気になったり、最悪の場合は、死んでしまいます。

 このように“生命を左右する”大事な神経なのに、自分ではコントロールできません。ここが、とても厄介なところです。

 自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、正反対の働きをしています。交感神経は、日中や緊張時や興奮時に活発になり、副交感神経はリラックス時や睡眠時に活発になります。

 この2つが交互に、バランスよく働いているのが、正常な状態です。一方が活発になり過ぎると、もう一方は不活発になり、バランスが崩れてしまいます。

 たとえば、常に緊張にさらされた状態では、交感神経は活発に働きますが、副交感神経は極度に抑えられてしまいます。すると「血圧の上昇」「胃腸の働きの低下」「心臓の働きの低下」などが起こります。

 さらに、心機能が落ちると血流が悪くなり、筋肉が硬くなって腰痛や肩こりも引き起こします。免疫力も弱まります。つまり、さまざまな病気や不調を引き起こしてしまうのです。

 体調が悪ければ、元気も出ませんね。するとますますリラックスできなくなり、自律神経のバランスがさらに悪くなる、という悪循環に陥ってしまうのです。

「日常の生活習慣を大事にしましょう」と、私がくり返し言うのはこのためです。