もちろん、多くの場合は加齢が原因です。しかし、体の細胞はすべてつながっていますから、生活習慣が崩れることによって、脳の機能が劣化して、ゴミ処理能力が低下することは、十分に考えられることです。

 いまでは602万人の方が認知症というデータがあります。軽度の方も含めると、1000万人とも言われます。小学生と中学生を合わせて940万人ほどで、これとほぼ同数ですから、たいへんな数です。

 小中学生は、朝、元気で学校に行きますが、同じ数の認知症の人は家の中に籠っています。

 もしも、この人たちが全員、元気で活動できるようになったら、街も賑やかになるでしょうね。経済効果も大きいでしょう。医療費や介護費用なども激減します。

 日本中が活気に満ちてきます。一人一人が少しだけ気を配り、生活を修正する“セルフケア”を行えば、「認知症ゼロ」はムリでも、近づくことはできると思います。

 生活習慣を維持するうえで大事なのは、次の3つです。

(1)ムリなく行うこと。
(2)自分に合う方法で行うこと。
(3)健康的な方法を選ぶこと。

 がんばり過ぎるのは禁物です。とくに高齢の方は、がんばった結果、病気やケガや事故につながることが少なくありません。

 高齢者は、自分の体と長く付き合っているわけですから「ムリかどうか」は、よくわかると思います。

 たとえば喫煙の習慣は、健康的ではないため、本当はやめたほうがよいのですが、「やめたらストレスがたまって仕方ない」というなら続けてもよいと私は思います。もちろん、これは高齢者の場合で、若い人には禁煙をおすすめします。

生命を左右する自律神経
整えることの重要性

 義理や世間体も気にせず、自分をいちばんに考えてほしいと思います。「今日は寒いけど、長いお付き合いだから、お悔やみに行かなきゃ」と、つい無理をしてしまいがちです。私も同じ世代なので、よくわかりますが、それで転んだり、風邪をひいたりしたら、元も子もなくなってしまいます。

 高齢の方は、真面目で律儀な人が多いけれど、「ああ、今日はいいや」とか「面倒だからやめちゃえ」という前向きな意味での“いい加減さ”も必要だと思うのです。

「いい加減」という言葉には、悪い印象がありますね。でも本当は、とても素敵な言葉です。「足したり・引いたりのバランスが絶妙」ということですから。

 とくに、平均寿命を超えた方たちは、もっと“いい加減”に生きていいと思います。