92歳の現役看護師が明かす「嫌な患者」が「ウソみたいにいい患者」に変わった日写真はイメージです Photo:PIXTA

「こんなもんだろう」と悪い状況を維持したり、常に不平不満を言ったりと、職場でのスタンスは人それぞれ。しかし、それは決して仕事や周囲のプラスにはならない。積極的に挑戦し、現状を打開した看護師たちの行動力とは。本稿は川嶋みどり著『長生きは小さな習慣のつみ重ね 92歳、現役看護師の治る力』の一部を抜粋・編集したものです。

「そうきたか」と受け止め
困難を乗り越える

 これまでの経験から、看護師には3つのタイプがあると思っています。これは看護師だけでなく、みなさんにも当てはまると思うので、一緒に考えてみてください。

(1)現状肯定型。「まあ、こんなものだろう」と考える“消極肯定派”の人。
(2)常時不満型。「この職場は嫌だ、嫌だ」と、常に不満をもっている人。
(3)積極挑戦型。「なんとかしてみよう」と、前向きに積極的に挑み続ける人。

 さて、あなたはどのタイプですか?

 看護師は(1)の人が多いというのが、私の見立てです。

 勉強熱心で向上心の高い人が多いのですが、それが逆に、自分を責めることにもつながっています。

「今日一日、よい日だった!」と思うより、「今日は、これができなかった」と考えてしまうのです。ところが、改善に向けて努力しているか? と言うとそうではない。

 その気持ちは十分にあるのに、忙しくて手が回らないのです。このため現状肯定型となり、職場内も“マンネリ化”してしまいがちです。

 そして、こうした沈滞ムードの職場にいると、毎日が平凡に思えて、不満もどんどん溜まってきます。(2)のタイプになってしまうのです。

 では、(3)の積極挑戦型になるには、どうするか? やはり、挑んでみるしかないと思います。人生は、困難や辛いことの連続です。ただ我慢したり、耐えたりするだけでは、心と体はへばってしまいます。むしろ受け止めてバネにする。それが私の信条です。

 困難に出会ったら「そうきたか」と受け止め、ひょいと跳び越える。跳び箱を飛ぶような感じです。私はよくこんな言い方をします。

「困難を乗り越えたとき、誰が喜ぶと思う? 自分がいちばんうれしいんだよ」と。

 アスリートは大会でメダルを取って泣きますね。それは、自分の記録を伸ばしたことや、自分の鍛えた心・技・体が他者より優ったことを喜んでいるのだと思います。

 そのために苦しいトレーニングをしたり、食事の制限をしたり、やりたいことを我慢したりするわけです。

 これは、困難を屈んで耐えたのではなく、受け止めて、バネにして跳び越えたということです。跳び越えた回数の分だけ、困難の乗り越え方はうまくなります。

 そして、乗り越えたときには、大きな喜びと成長が待っているのです。

医師が諦めた患者が
看護師のアイデアで回復

 私の関係していた病院が、開設したばかりの頃の話です。チームの全員が、気心も知れぬまま、ただ慌ただしく働き、疲労がピークに達していました。