連日の株高は「半導体経済」がもたらしたもの。ソフトバンクグループの孫正義氏の視点で、半導体経済について過去から未来まで俯瞰します。話題の「AI-RANアライアンス」の意義とは? 孫氏が狙う“獲物”の全貌を解き明かします。(トライズ代表 三木雄信)
株価最高値の背景に「半導体経済」
孫正義が狙う“獲物”の正体とは
2月27日、日経平均株価の終値は3万9239円を付け、3日連続で史上最高値を更新しました。この背景には、米国の半導体企業エヌビディアの好決算とその株価の急騰があるとされています。
また、ほぼ時を同じくして台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場の開所式が行われ、現地では土地や賃金がバブル経済時の様相を呈していると大きく報道されています。まさしく、世界経済も日本の地域経済も半導体が動かす「半導体経済」といえる大きなムーブメントです。
さて、半導体経済のキー・プレーヤーの1社が、英国の半導体設計会社アームであることは間違いありません。23年9月に米ナスダックに上場したアームの株価は急騰しており、つられてアームの親会社であるソフトバンクグループの株価もうなぎ上り、最近は9000円前後を付けています。
そこで今回は、ソフトバンクグループの孫正義氏による独自の「テクノロジー・ウェーブ」の視点で、半導体経済について過去から未来まで俯瞰します。筆者は、ソフトバンク勤務時代に社長室長として同視点で資料作りを行っていました。折しもソフトバンクは2月26日、海外のビッグネームと「AI-RANアライアンス」を設立しています。俯瞰してみると、孫氏が虎視眈々と狙う“獲物”の正体が見えてきました。