子どもが怠けていたり、なかなか言うとおりに動いてくれないとき、親はついつい叱りたくなってしまいます。しかし、あれこれ注意をすればするほど、かえって子どもに反抗心が芽生えて、抵抗されてしまうものです。それでは、どのような言葉をかけたら子どもは自律的に動いてくれるようになるのでしょうか。延べ2万人の親子と関わり、発達心理学や行動科学を研究してきた著者が、子どもへの具体的な声のかけ方を0歳?12歳までの年齢別に紹介していきます。
※本稿は、竹内エリカ『心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
「自分の頭で考える」子になってもらうには?
子どもが何か失敗したり悪いことをしたりしたときに、親は頭ごなしに叱ってしまいがち。ですが大切なのは、悪いことをしたと子どもに認識させるよりも、「どうしたらそれを繰り返さなくなるか」を考えられるよう促すことです。
そのために、普段の会話で心がけるといいのが「RQR法」です。これは、Repeat(リピート)、Question(クエスチョン)、Request(リクエスト)の頭文字をとったもので、この3つを段階的に行うことで、自分の頭で考える子に育ちます。
まずリピート(=繰り返す)では、子どものしたことを口に出して繰り返すことで、自分がしたことを認識させます。そしてクエスチョン(=質問)では、親御さんが質問を投げかけることで、子どもが自分で考えるようになります。そしてリクエスト(=提案)では、解決策を提案してあげることで子どもの問題解決力が向上します。
たとえばきょうだいげんかをした場合、大人は「叩いちゃだめでしょ。謝りなさい!」などと言ってしまいがち。ここでRQR法を使ってみてください。
まず、「お兄ちゃんが叩いた?」と泣きついてくる弟に、「お兄ちゃんが叩いたのね」とリピートします。「痛いよ?」には「痛かったのね」と続けます。ここで、弟はお兄ちゃんに叩かれて痛かったという感情を認識し、かつ、お父さんお母さんに感情を受け止めてもらったことで満足します。
そこで「どうしてお兄ちゃんは叩いたのかな?」とクエスチョンし、子どもの反応を待ちます。「僕がおもちゃを使いたかったの。でもお兄ちゃんはダメって言うの」と返ってきたら、「そう。おもちゃを使いたかったのに、ダメって言って叩いたのね」と続けてあげます。
ここまで会話が進んだら、最後に「おもちゃを使いたいときは、貸してって言うといいよ」とリクエストして、改善策を見つけてあげます。このような流れを親の方から作ってあげると、自分の頭で考えられる子になります。