中学受験の受験者数が2023年に過去最高を記録した。高まる「中受(中学受験)熱」で、進学塾競争も加熱している。名門中学への高い合格率を誇る進学塾「SAPIX」の講師に取材を重ねた『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)の著者で教育ライターの佐藤智氏に、子どものやる気を削ぐNGな声のかけ方について聞いた。(清談社 吉岡 暁)
親がスマホを見ながら
「集中しなさい!」はNG
「中学受験」が盛り上がっている。受験者数は9年連続増加しており、2023年度の首都圏の国・私立の受験者数は5万2600人(首都圏模試センター調べ)と過去最多を記録した。1991年のバブル景気時における受験者数のピーク、5万1000人を上回る数字であり、少子化でありながらも現代の子育て世帯は「中学受験」に強い興味関心を持っていることがわかる。
そんななか界隈で注目、支持され続けているのが首都圏難関中学の麻布中学や開成中学、桜蔭中学校などの中学受験で数多くの合格者数を誇る進学塾「SAPIX」だ。SAPIX小学部では、毎年全国で約6000人の小学生が入塾し、巣立っていく。
SAPIXで中学受験のための授業が本格化するのは「小学4年生」のカリキュラムからといわれているが、この「小4」という時期は子どもの学力格差においても重要な時期とされている。
一説によると、「学力の差は小学4年で明確化・固定化する」と言われており、実際に福岡教育大の研究チームが、小学4年から中学3年までの学力変化を調査した研究では、小学4年の時に成績がいい子はその後も成績が伸びやすく、下位の子は停滞しやすいという結果が出ているという。
中学受験をする予定がなくても、将来的には子どもにいい学校、いい大学へ行ってほしいと願うのであれば、10歳前後から既にその競争は始まっていると考えたほうがいいようだ。では早い段階で子どもの勉強へのやる気を引き出し、学習意欲を身に着けさせるために親はどうすればいいのか。