「中古車の買取価格が安すぎ!」と怒る人の死角、実はクルマを傷つける“4つのNG行為”とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

昨今のクルマは、多少メンテナンスを怠ったり、雑な操作を行ったりしても、特に壊れる様子は見受けられません。しかしその裏側で、クルマへのダメージは確実に蓄積されています。ダメージが長年積み重なると、思わぬ故障につながることもあります。普段の何気ない操作や運転も、クルマにとっては“辛いこと”かもしれません。そこで今回は、オーナーが知らないうちにクルマを傷つけてしまう「NG行為」を四つご紹介します。これらの行為がクルマの状態を悪化させ、中古車として売却する際の「買取価格低下」につながる恐れもあります。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

タイヤの空気圧チェックを
忘れたまま走るべからず

 今回は、オーナーが知らないうちにクルマを傷付け、寿命を縮める「四つのNG行為」を見ていきます。これらの行為のせいでクルマの状態が悪化し、売却時に低く査定される恐れもあるため要注意です。思わぬ事故を招く行為も含まれているので、日頃から避けるようにしましょう。

 NG行為の一つ目は、「タイヤの空気圧チェックを怠ったまま走行すること」です。

 空気圧チェックはクルマのメンテナンスにおける「基本中の基本」でありながら、気にしているドライバーは意外と少数派です。タイヤのチェックといえば、摩耗や劣化の確認に気を取られがちですが、空気圧を適正に保つこともそれらと同じくらい重要です。

 言わずもがなですが、タイヤの主原料であるゴムは空気を通す特性があるため、走行距離などに関係なく自然に空気が抜けていきます。そのため、「あまり遠くまで運転していない」「そこまで頻繁にクルマに乗らない」という人も、定期的な空気圧チェックが欠かせないのです。

 空気圧が低下すると、燃費が悪化します。自転車も、タイヤの空気が抜け気味だとペダルが重くなりますが、クルマも同じです。空気圧が低下していると、走行中のタイヤのたわみが大きくなるため、走行時に生じる「抵抗」が増えます。前に進むためにたくさんのパワーが必要となり、余計に燃料を消費するのです。

 空気圧不足で最も恐ろしいのがバースト(破裂)です。タイヤの空気圧が足りないクルマを高速で走らせると、先述したたわみが大きくなることで発熱する場合があります。タイヤが高温に耐えられなくなると、「バンッ」という音とともに破裂。衝撃が発生し、クルマはコントロール不能となります。バーストする箇所や車種にもよりますが、ハンドル操作もブレーキ操作も利かなくなるという、恐ろしい事態にもなりかねません。

 タイヤ本来のグリップ力が発揮できず、走行安定性が低下する。タイヤの排水性が落ちることで、雨天時にスリップしやすくなる。タイヤの特定の部位だけがすり減る「偏摩耗」が起きる――。空気圧不足を放置すると、他にもさまざまな問題を引き起こします。走行距離に関係なく、月に一度は必ず空気圧をチェックするようにしてください。

 クルマに負担を掛けたまま走り続けると、クルマにダメージが蓄積され、思わぬ事故に結びついてしまうリスクもあります。もちろん事故を起こせば、クルマの価値は大きく下がってしまいます。