「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」は高齢者だけでなく、あらゆる年齢層のドライバーが引き起こす可能性があります。踏み間違いは複数の要因が絡み合って起こるもので、「これだけ気を付ければ大丈夫」という単純なものではありません。悲惨な事故を未然に防ぐためにも、ドライバーは事故を招くさまざまな要因を知っておくべきだといえます。本稿ではその中から、特に気を付けるべき「3つのポイント」をお伝えします。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
アクセル・ブレーキの踏み間違いで
加害者にならないための3つの注意点
高齢者が交通事故を引き起こし、テレビなどのメディアで大々的に報道されると、「高齢者による運転は危ない」「高齢者は早く免許を返納すべき。運転なんてやめたほうがいい」という声が殺到するのが世の常です。
確かに、年齢を重ねるにつれて運転はうまくいかなくなります。高齢になれば、判断力や体力は落ちます。関節の可動域も狭くなります。反射神経も鈍ります。その結果として起こる交通事故の代表的な原因が、「アクセルとブレーキの踏み間違い」です。
交通事故総合分析センター(ITARDA)が2022年に発表した調査結果によると、2018~2020年に75歳以上の高齢者が引き起こした、ペダル踏み間違いによる死亡重症事故の件数は下記のようになっていました。
・「車両相互」:82件
・「車両単独」:194件
・「人対車両」:86件
とはいえ、若いドライバーは一切ペダルを踏み間違えないのかといえば、必ずしもそうとは限りません。先ほどのITARDAの調査を見てみると、24歳以下の若者が引き起こした、ペダル踏み間違いによる死亡重症事故の件数は次の通りでした。
・「車両相互」:25件
・「車両単独」:10件
・「人対車両」:6件
これらの件数を多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれですが、「ペダル踏み間違いは高齢者だけの問題ではない」「若者による踏み間違いも起こり得る」ということは確かではないでしょうか。
踏み間違いはいくつもの要因が絡み合って起こるもので、「これだけ気を付ければ大丈夫」という単純なものではありません。悲惨な事故を未然に防ぐためにも、ドライバーは事故を招くさまざまな要因を知り、運転時に一つずつ潰していくことが重要です。
今回はその要因の中から、特に気を付けるべき「3つのポイント」をお伝えします。