ウォルマート、アマゾンに次いで世界の小売業ランキング第3位であり、毎年10%以上の成長を続けるコストコ。日本でも次々と店舗を増加させています。利益の半分を会費から得る、特徴的なビジネスモデルの成功要因とは?継続率90%を誇る、コストコ独自の会員制モデルの秘密を探ります。(グロービス講師/グロービスAI経営教育研究所 マネージャ 松村真美子)
「低価格・大容量販売」と「会員制」
“米国的”コストコが日本でウケたワケ
「コストコ歴20年」「年間100回通う」「年間購入金額150万円以上」など、ウェブ上には熱烈なコストコマニアによる記事や動画がたくさん上がっています。お買い得情報や商品ラインアップ、店舗レポートなどが大量にアップされ、あらゆるコストコ情報がファンによって日々更新されているかのようです。
日本でも多くのファンを持つ米コストコ・ホールセールは、北中米を中心に全世界で871店舗を展開し(2023年11月30日時点)、会員数1億2790万人(2023年2月12日時点)を誇る米国発の巨大スーパーチェーンです。日本には1999年に進出し、現在までに33店舗を出店しています(2023年8月24日時点)。
コストコの特徴は、なんといっても「低価格・大容量販売」と「会員制」でしょう。
1万平方メートルを超える広大な売り場、見上げるほどの高さまで積み上げられた陳列棚、規格外サイズの商品……コストコを訪れたことのある方は、倉庫と売り場が一体となった風景に圧倒されたはずです。
コストコは商品点数を絞り、大量に仕入れることで低価格を実現しています。広告を打たず、店内装飾はシンプル、商品出しや陳列も最小限にして、徹底的に無駄なコストを省いていることでもよく知られています。
このような販売形態は、言わば、米国的です。
土地も住宅も広く、車で出かけて数週間分の食料を一度に仕入れ、家で貯蔵しながら消費する米国の生活習慣には合いますが、家が狭く、新鮮な商品を好む日本では、このような購買スタイルは好まれないと言われていました。
実際コストコの店舗は首都圏でも、幕張、川崎、三郷など都心から少し離れた場所に、多くの人にとって決して日常的に利用できる環境ではありません。
しかも、利用するには年会費を払う必要があります。コストコの年会費は米国で年間60ドル、日本で税込4840円です。商品が低価格とはいえ、一度の利用で元を取るのはなかなか大変でしょう。
にもかかわらず、なぜコストコには日本でも熱烈なファンが多いのでしょうか。