抑うつの有無で、15種類の食品群の摂取量を比較

 解析対象は423人で、そのうち男性は251人(平均年齢43.1±10.5歳)、女性は172人(同40.7±11.2歳)だった。CES-Dの平均点は、全体で13.0点、男性12.1点、女性14.3点であり、女性の方が有意に高かった。抑うつあり(16点以上)の人の割合は、全体で28.4%、男性24.3%、女性34.3%だった。

 抑うつの有無で15種類の食品群の摂取量を比較すると、抑うつありの男性は抑うつなしの男性に比べて、いも類、その他の野菜(緑黄色野菜以外)、全野菜類、肉類、卵類の摂取量が有意に少なかった。女性でも、抑うつありの人の方がこれらの食品群の摂取量は少ない傾向にあったものの、有意な差はなかった。

 次に、いも類、その他の野菜、肉類、卵類について、摂取量が「多い」「中間」「少ない」の3グループに分け、抑うつとの関連を調べた。年齢、睡眠時間、運動、飲酒や喫煙の影響を調整して解析すると、男性では、卵類の摂取量が少ないグループが抑うつと有意に関連していた(多いグループと比較したオッズ比2.59、95%信頼区間1.21~5.54)。

 女性では、卵類の摂取量が少ない(同2.68、1.07~6.70)または中間(同2.59、1.06~6.33)のグループと、その他の野菜の摂取量が少ない(同2.86、1.11~7.36)または中間(同2.72、1.09~6.82)のグループが、抑うつと有意に関連していた。また、男性では卵類、女性では卵類とその他の野菜の摂取量が少ないほど、抑うつのオッズが高くなるという有意な傾向が認められた。

 著者らは、横断研究であるため因果関係は示されないという限界点を挙げた上で、「抑うつのオッズは、卵の摂取量が少ない男性と女性、野菜の摂取量が少ない女性で高い」と結論。日本人を対象とした先行研究では、職種により抑うつの割合は27.8~37%と異なっているが、本研究の米沢市役所の従業員では28.4%であり、特に抑うつが多いという対象ではなかったとしている。

 また、抑うつの要因として神経伝達物質であるセロトニンの不足を挙げ、卵にはトリプトファン(セロトニンの材料となる必須アミノ酸)が豊富に含まれていると説明。抑うつのリスクには食事、睡眠、運動などが関連するとされるが、今回の研究は、基本的な食材の重要性を示すものといえる。(HealthDay News 2024年3月18日)

Abstract/Full Text
https://bmcnutr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40795-024-00830-4

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