米株式市場にマネーマーケットファンド(MMF)から数兆ドルの資金が流入するかもしれない。そのような期待を抱いてきた株強気派は、おそらく失望を味わうことになるだろう。米連邦準備制度理事会(FRB)の次の行動は利下げになるとの見通しにもかかわらず、MMFの資産残高は急速に増え続けている。調査会社クレーン・データによると、MMFの資産残高は現在約6兆5000億ドル(約966兆円)に達している。S&P500種指数が年初から8%上昇する一方、クレーン・データによると、MMFの資産は1~2月に合計で1500億ドル超増加し、増加額は前年同期を500億ドルほど上回った。今年の米国株上昇は、半導体大手エヌビディアに代表される人工知能(AI)関連の成長株への高い期待などが支えている。株高に浮かれる向きは多いが、懐疑派も少なくない。株式の対極にある現金・現金同等物にも資金が流入し続けているという事実は、誰もが株高の波に安心して乗れると思っているわけではないことを示唆している。ただ、楽観的に見る人からすれば、これは株式などのリスク資産にはさらなる上昇余地があるとの主張を補強する、ということになるかもしれない。
「米株に数兆ドル流入」強気派のはかない夢
FRBが利下げに踏み切れば大量の資金がMMFから株式に向かうと投資家は期待しているが
有料会員限定
あなたにおすすめ