2024年1月からスタートした新NISA。制度が恒久化され、非課税保有期間が無期限になるなど、これまで以上に使い勝手の良い制度へと進化した。“超王道”投資術の連載第2回となる今回は、新NISAの基本的な仕組みと活用方法について、これまで2万6000件以上の家計相談を受けてきた実績を持つ家計再生コンサルタントの横山光昭氏に、悩める50代のビジネスパーソンが質問した。
先生、新NISAを使うとどんなメリットがあるんですか?
――2024年1月からスタートした新NISAが話題となっています。私はこれまでNISAを活用していなかったのですが、そもそもNISAはどんな制度ですか?
NISAは「少額投資非課税制度」ともいい、株式や投資信託への投資で得られた利益(運用益)について非課税とする制度のことです。「NISA口座」を利用して一定の金額内で投資すれば、その利益には税金がかからなくなります。
NISAを利用するには口座の開設が必要です。初心者であれば取扱銘柄の多い、大手ネット証券会社がお薦めです。口座開設は各社のホームページを参照してみてください。
――新NISAにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
新NISAの最大のメリットは、何といっても投資で得た利益が非課税になる点です。通常の投資では運用益の約20%が税金として引かれてしまいますが、新NISAなら、投資で得た利益を丸ごと手に入れることができるわけです。
さらに、以前のNISAでは、非課税保有期間が最大5年や20年間でしたが、新NISAでは非課税保有期間が一生涯(無期限)となったため、ますます有益になります。
――なるほど。NISAは、より使いやすい制度に進化したわけですね。他にも、特徴的な仕組みなどはありますか?
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という二つの枠が設けられており、一つの口座で併用することが可能で、つみたて投資枠では年間120万円まで、成長投資枠では年間240万円まで非課税で投資することが可能です(図1参照)。
また、一生涯では、二つの枠を合計して最大1800万円(うち成長投資枠は1200万円)まで非課税で投資することができます。二つの枠では投資できる商品に違いがあり、つみたて投資枠で購入できる商品は一定の要件を満たした投資信託とETF(上場投資信託)に限られているのに対して、成長投資枠では投資信託やETFの他にも、上場株式やREIT(不動産投資信託)など幅広い商品を購入することができます。
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非課税枠の再利用ができる点もポイントです。例えば投資枠が1800万円埋まり、一部を売却すると、翌年にはその分が非課税枠として復活するようになりました。これによって、取り崩しをしながら投資をすることが可能となるため、税制のメリットをさらに活かすことができます。
次ページからは、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを優先して使えばいいのか、さらには投資初心者にお薦めの「王道」投資先を紹介していく。