いま担当している仕事に意義を見いだせない瞬間は、誰にでもある。しかしそれはそう遠くない将来に成功をつかむための、心の修行なのかもしれない。伝説のドキュメンタリー番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」などを手掛けた元テレビ東京の凄腕クリエイターが、仕事との向き合い方を語る。※本稿は、最後まで読むとその意味がわかる、従来のビジネス書の枠にとらわれない驚きの内容が話題の上出遼平『ありえない仕事術 正しい“正義”の使い方』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。
自分でなくてもできる仕事が
自分に割り当てられたことを喜べ
この世界の数限られた真実のうちの一つに、「無駄なものなど原理的に存在し得ない」ということがあります。反論したくなる気持ちもわかります。周りを見渡せば無駄に見えるもので溢れている。そもそも自分の存在こそが無駄ではなかろうか――そう思う気持ちもわかります。
この世界のすべての事象は原因に紐づけられた結果である、と言っているわけではありません。その辺りの議論は一生費やしても足りないくらいややこしいので哲学の方々にお譲りします。私がここで言いたいのは、この社会生活において、ありとあらゆる行動はなんらかの「結果」をもたらすという点です。先輩に無理やり押し付けられた合コンのレシートの精算処理でさえ、少なからぬ結果をもたらすのです。その結果をどう受け取るか、そこが重要です。
結論をお伝えします。
今あなたに与えられている役割が「自分でなくてもいいのに」と思えてしまうようなものであればあるほど、つまりその作業が無駄であると感じられれば感じられるほど、あなたは幸運な状況にあると言えます。なぜならそれは、それこそ最高に割りの良い修行だからです。私は自分の経験則から、これを確信しています。
会社員として艱難辛苦に耐え抜いて、それなりにスキルを身につけ、信頼を得られるようになってくれば、いつかチャンスが訪れる。そのチャンスをあなたは絶対にものにしなければならない。これまでの知識も人脈もフルに活用してフィールドに立つでしょう。
そこで最後の最後、あなたを救うものは何か。それは「忍耐力」です。馬鹿みたいな話ですが、ありとあらゆる仕事において、成否を分けるのは結局のところ忍耐力なのです。どんな技術を持っていても、締め切りのギリギリまでそのクオリティを上げる忍耐力を持てるかどうか。踏ん張り切れるかどうか。それまで培ってきたものを生かすも殺すも、その培ってきたものをどれだけ駆動し続けることができるかに、最後はかかってくる。
成功の連鎖が途切れたときの
ために心を鍛えておこう
さらに言えば、幸運なことに一つ目のチャンスで成果を上げたとします。するとすぐに二度目が来る。なんとか踏ん張って二度目でもうまくいく。すると三度目、そして四度目――。何かを達成すればするほどやってくるチャンスは増え、そのスピードは増し、要求されるレベルも上がってくる。それをものにし続ける必要がある。想像を絶する忍耐が求められます。そして忍耐が切れた時点で、成功の連鎖は止まる。