一度落ちた「没落者」が這い上がるのは至難の業。これもまた、社会の残酷な一面です。「終わった人」という烙印は皮膚の奥深くまで焼き付けられてしまう。隠すこともできない。だからなるべく早いうちに、あなたの望む成功を(もちろん誰かに押し付けられた成功ではなく)掴む前に、心を鍛えておかなければなりません。あなたが今向き合っている「雑魚作業」こそ、あなたが今後絶対に必要とする力を授けてくれるのです。
あまり知られていませんが、心は筋肉でできています。半分嘘で、半分本当です。スポーツばかりやってきて頭を使わない(そんなわけない)人が「脳筋(脳まで筋肉)」と揶揄されるらしいですが、脳がガッチリ鍛えられた状況は実際かなり強い。良くも悪くもこの資本主義社会では有能な戦力となるでしょう。
東京の現場を放りだして
着の身着のまま京都へ逃亡
さて、重要なのは「心は鍛えられる」という点です。反復運動で負荷をかけ、筋繊維を太くしていくように、心も太く強くすることができます。そして同様に、過剰なトレーニングが筋肉を損傷させてしまうように、精神的な負荷が上限を超えれば心を壊してしまうことにもなりかねない。
その見極めは非常に困難です。自分では気づかないうちに限界をはるかに超えている(「はるかに」というのが重要です。少しだけ限界を超えていくことこそトレーニングの本質だからです)ということがしばしばあります。
願わくは客観的に自分のことを見てくれる人がいてほしいところです。その人が「それ以上頑張ったら壊れちゃうよ」と言ったらドクターストップ。休暇を取るなり上司に無断で旅に出るなり、とにかくそこから逃げ出しましょう。ラッキーなことに、逃亡者がいきなり撃ち殺されるほどには、この世界は残酷ではありません。
事実、私も入社半年ほど経った時に突然限界を感じ、東京タワーの足元にあった編集所から逃げ出し新幹線に飛び乗って京都に行ったことがあります。京都の石畳を歩いている時にやけに足裏が痛いなと思って見下ろすと、編集所のペラペラのスリッパのままだったのに驚いたりもしました。
本当に限界だったのだろうなと今は思います。ちなみに、真夏だったのに革ジャンを着ていたので、体温調節もままならなくなっていたのでしょう。しかし、そんな状態からなんとか復活して今があります。どうにかなるものです。