そう考えると、この特例はまさに空き家対策だということがわかります。古くて危険な空き家をなるべく早く取り壊してもらい、土地を有効活用してもらおうという目的でつくられた特例といってよいでしょう。

 空き家の取り壊しが前提ですが、取り壊さないで売却することも可能とされています。その場合は家屋を耐震リフォームすることが要件とされていますが、実際にはこのケースはまれだと思います。

 また、この特例を受けるための要件として、「相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと」があります。つまり、亡くなる直前の段階で、家族を含めて同居人がいなかったことが必要とされます。

 さらに、相続開始から売却までの期間に、空き家や更地になった敷地を誰かに貸したり事業用に使ったりしていないことも要件に含まれています。例えば、小銭を稼ごうとして更地を駐車場として貸していると、要件を満たさなくなってしまうので注意が必要です。