「空き家譲渡特例」の適用期限の延長

 空き家対策の1つとして、2023年末までと設定されていた「空き家譲渡特例」が、令和5年度税制改正によって2027年末までに延長されました。

 この特例は、相続した古い「実家の空き家」を、相続の開始があった日から3年目の年末までに取り壊してその敷地を売却した場合等、いくつかの要件に当てはまれば、土地を売った所得(譲渡所得)から最高3000万円控除されるという制度です。

 正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といい、

 譲渡所得が3000万円までなら譲渡所得税はゼロ。譲渡所得が4000万円ならば、控除額3000万円を超えた1000万円分だけに譲渡所得税がかかるという仕組みです。

 適用期間を確認しましょう。例えば、相続発生(被相続人の死去)が2024年6月1日だとすると、そこから3年目というと2027年6月1日になります。ですから、その年末である2027年12月31日までに家屋を解体して敷地の売却等をすればよいことになります。

 売却がそれ以後になると、税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が譲渡益全体に課税されます(譲渡した年の1月1日現在で不動産所有期間が5年を超える場合)。つまり、手取りは約8割に減ってしまうのです。

 適用されるための要件はいくつかありますが、大原則として空き家となった実家が「昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたこと」です。

 その翌日に当たる1981年6月1日は、建築基準法が定める現在の耐震基準が施行された日です。それ以前の建物は耐震性が低いために、できれば早く建て直してほしいというのが行政の考えでしょう。ましてや、そうした家屋が空き家になったままでは危険極まりない状態です。