従来の消費はモノの機能を重視していましたが、多機能で高機能なモノがひと通り世の中に行き渡った結果、モノを通じた形ある価値よりも、モノを持ったり使ったりすることを通じた形のない価値(コト)が重視されるようになりました。これは事業を考えるうえで押さえておきたい社会変化の1つです。

女子高生のイラスト

 社会変化という点で見ると、ブームは短期的な社会変化といえます。ブームよりも息が長いのがトレンドで、さらに長くなると変化が常識として定着します。環境問題はブームからトレンドになり、常識になった一例といえるでしょう。今でこそ世界全体が環境に配慮することを常識としていますが、過去にはロハス、エコ、エシカルといった短いブームを繰り返し、SDGs時代になってようやく広く浸透したわけです。

それでは、タピオカ屋はどこに行ったのか?

 何がブームになるかは分かりません。ブームがどれくらい大きくなり、どれくらい続くかも分かりません。

 これを事業機会とする場合は、どんな商品にも寿命(プロダクトライフサイクル)があることを踏まえておくことが大事です。また、一過性のブームで終わるかもしれないリスクを考えて、いつでも撤退できるようにすることがリスク対策になります。

 そのためには、少資金、省スペースで開店(開業)するなど、開業にかかるコスト(イニシャルコスト)を安く抑えることがポイントです。

 ブームが長続きするようなら追加投資をし、冷めつつあると感じたら、次の事業機会を探すといった柔軟性と俊敏性を持っておくことで、時代の変化に乗ることができるのです。

 さて、一時期は街中に溢れていたタピオカ屋ですが、今も残っているのはGong chaやBull Puluなど一部のチェーンだけです。

 消えたタピオカ屋がどこに行ったかというと、ある店は唐揚げ店になり、ある店はマリトッツォの店に変わり、ある店は焼き芋の店になりました。

 イニシャルコストを徹底的に抑えることで短期で利益を回収し、ブームが去ったらすぐに見切りを付けて撤退する。

 この変わり身の早さを活かして、消えたタピオカ屋は次のブームに乗り換え、新たな収益を生み出しているのです。