写真:デジタル市場法のイメージ写真Photo:NurPhoto/gettyimages

欧州連合(EU)で全面適用が開始した「デジタル市場法」が、米IT大手のアップルやグーグルなどを窮地に追いやっている。この規制を「成功モデル」として、日本でも同様の規制が導入されそうな流れがあるが、そんなことにならないように注視が必要だ。(イトモス研究所所長 小倉健一)

EUが世界のIT大手を縛る
「デジタル市場法」が全面適用

 3月7日、欧州連合(EU)で全面適用がスタートした「デジタル市場法」が、大きな波紋を広げている。

 デジタル市場法とは、米IT大手のアルファベット(Googleを運営)やアマゾン・ドット・コム、アップル、メタ・プラットフォームズ(Facebookを運営)、マイクロソフト、中国IT大手のバイトダンス(TikTokを運営)といったプラットフォーム企業(ゲートキーパー)に対して、消費者の選択肢を狭めるような不公正な商習慣を行わないよう、厳格なルールを定めた法律だ。自社サービス優遇の禁止や、有効な同意を得ずにターゲット広告のために自社サービス外で利用者を追跡することの禁止などを定めている。

 EUでのデジタル市場法の運用開始を受けて、米国、そして日本などの地域で、デジタル市場法と同等の基準を採用する可能性がある。

「消費者の選択肢を狭めるな」「不公正な商習慣を改めよ」といった意義を強調されると、このデジタル市場法が適正な法律のように受け取ってしまうが、この法律には多くの批判が噴出している。