写真:AppStoreのアイコンPhoto:Diamond

「アップル税」ともいわれる、巨大IT企業が運営するアプリストアなどのプラットフォームの手数料に対して、日本でメスが入ろうとしている。しかし、筆者はこの問題について、もう一度冷静に議論を組み立て直す必要があると感じている。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「アップル税30%」は
本当に高いのか?

 スマートフォンにおいて、アプリをダウンロードするには、アプリストアへアクセスする必要がある。逆にアプリを開発した側からすると、アプリストアへ出品する必要があるということになる。

 多くのアプリは「有料サービス」を提供しているが、その利用者が支払う課金の一部が、手数料として、アプリストアを運営する米アップルや米グーグルに入ることになる。アップルのアプリストアは「App Store」、グーグルは「Google Play Store」という名称だ。

 アプリを配信する際の手数料は30%が標準だが、いくつか例外がある。アップルのホームページ(HP)によると、App StoreはApple Developer Programの年間登録料として99ドル(エンタープライズ版〈100人以上の大組織版〉は299ドル)が必要で、有料のアプリの販売やアプリ内課金に30%の手数料がかかる。

 ただ、小規模事業者の発展を支援する観点から、前暦年の合計収益額が100万ドル以内である場合、手数料は半額の15%となる。

 一方、グーグルのHPによると、Google Play Storeもアプリ開発者の年間収益が100万ドルまでの場合は手数料15%、100万ドルを超える場合は手数料30%になるという。また、定期購入(サブスクリプション)に対しては15%の手数料がかかるルールになっている。

 米アマゾン・ドット・コムのアプリストア「Amazon Appstore」でも30%の手数料が取られ、前暦年の年間収益が100万ドル未満のアプリ開発者は手数料が20%になる。

 さらに、中国ではスマホメーカーやゲーム会社がアプリストアを運営しており、華為技術(ファーウェイ)やテンセントのアプリストアでは50%の手数料が取られるという報道もあった(日経産業新聞『高すぎるアプリ手数料、中国でもゲーム会社が「反旗」』、2021年1月30日)。

 スマホのシェアが高いことからアップルが標的にされることも多いが、アップルの手数料が特別高いわけではないようだ。スマホ市場の占有率は、アップルとグーグルで9割超と超寡占状態ではあるものの、業界のスタンダードとして手数料は30%前後、場合によっては50%取られることもあるといっていい状況であることが確認できる。