巨大インターネット企業に厳しいのは欧州や米国の政府だけではない。日本の公正取引委員会は実は、世界でも注目の規制当局となりつつある。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#10は、20年9月、新たに公取委員長に就任した古谷一之氏のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
米国・欧州・日本の競争当局
対GAFAでは「同じ問題意識」
――米国・欧州の競争当局がGAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)に対して厳しい姿勢を強めていますが、日本の当局者としてどのように見ていますか。
確かに、この秋以降の動きは活発です。米国では、下院の司法委員会がGAFAの調査報告書を発表したのに続いて、司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでグーグルを提訴し、さらには連邦取引委員会と全米各地の州政府が反トラスト法の疑いでフェイスブックを提訴しました。
また欧州でも、EU(欧州連合)の欧州委員会がアマゾンに対して、マーケットプレイスに出店する小売り事業者のデータを不正に利用していた疑いで異議告知書を送るといった具体的な動きがありました。
これらについて私が感じるのは、米国も欧州も基本的にはわれわれ日本の競争当局と同じ問題意識を持っているということです。
デジタルプラットフォームに対する法執行はこれまでもやってきたことですが、欧米で具体的な動きが目立ってきたために、「日本はどうするのか」という声が私のところにもいろいろな関係者から届いているのは確かです。
――欧米の法執行が目立っているのに対して、日本の動きは見えにくいですが、「日本はどうするのか」という声に対しては、どう対応しているのですか。