米アップルが稼働中の同社製デバイス20億台超にいかにアクセスを認めるかをめぐり、ソフトウエア開発者や規制当局が同社と闘いを繰り広げる中、彼らはある人物が立ちはだかっていることに徐々に気付いた。フィル・シラー氏(63)だ。アップルの元最高マーケティング責任者で、長年スティーブ・ジョブズ氏の「分身」とみられてきたシラー氏は、同社のエコシステムの恐らく最も熱烈な弁護人として注目を集めている。多くの電子機器を切れ目なく連携させ、ユーザーのセキュリティーとプライバシーを保護するという構想を実現したエコシステムだ。かつては優れたアイデアとみられていたアップルの構想は、米司法省や欧州連合(EU)などの規制当局者に加え、音楽配信サービスのスポティファイやマイクロソフト、マッチングアプリを運営するマッチ・グループ、X、メタ・プラットフォームズといった同業者からも批判されるようになった。批判的な向きはアップルが過剰な手数料を課し、外部ソフトウエアに対する管理が抑圧的でイノベーションを阻害するとの見方を示す。