GLCは、走行性能にも利便性にも
優れる万能性が魅力
走りのよさには最大4.5度切れる後輪操舵システムも効いている。これにより最小回転半径が5.1mと小さくなり取り回しがよくなっているのはもちろん、ステアリング操作に対して、応答遅れなく俊敏に回頭し、揺り戻しも出にくくなっている。
車検証によると、前軸重が1070kg、後軸重は1270kgとリアの方が200kg重い。注意深く観察するとコーナリングやレーンチェンジでリアに微妙なイナーシャを感じる。だが、それも後輪操舵システムが上手く打ち消す。
少々気になったのはブレーキフィールだ。踏み方によって反応が一定しておらず扱いにくい。インテリジェント回生のおかげで気になるシーンはさほど多くないとはいえ、改善を期待する。
GLCは、走行性能にも利便性にも優れる万能性が魅力だ。350eは、そのうえで電動車としての高い実力を備えている。メルセデスは、すでに完全なBEV(EQモデル)を多数ラインアップし、選択肢は豊富。だが電欠の心配なしに、長距離クルーズを楽しみたいというユーザーはまだまだ多い。350eはいま、最善のチョイスかもしれない。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)