首都圏を中心に展開するスーパー「オーケー」の創業者で会長の飯田勧氏が4月2日、亡くなりました。96歳でした。追悼の意を込めて、週刊ダイヤモンド2010年2月6日号特集『安さプラスαで売れる店』内の記事をもう一度、紹介します。※全ての内容は初出時のまま。(ダイヤモンド編集部)
オネスト(正直)カードで
店に不利な情報も公開
「雨量不足の影響で若干酸抜けが悪く、旬の時期に比べるとまだ美味しくありません。最も美味しくなるのは2〜4月頃になります」
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1月中旬、東京都内のオーケー店内では、フロリダ産グレープフルーツにこんなPOPがかけられていた。「オネスト(正直)カード」と呼ぶもので、お客にとって好ましくないと思われる情報もあえて提示する。
「家族と買い物するとき、そっと家族に教えるような商品情報は、お客様にもぜひお知らせしなくては」という考えからだ。店側に不利と思える情報でも正確かつ正直に伝えることで、信頼を得るオーケーならではの手法である。
食品スーパー、オーケーの飯田勧社長は、「目的は売り上げを伸ばすことではない。熱烈なオーケーファンを増やすこと」と話す。ファンづくりの秘訣は、お客に損をさせない圧倒的な安さと、オネストカードに見られるようなていねいな情報開示や商品説明だ。
店内では、至るところに情報開示のPOPがある。よく見かけるのが「他店に競合して値下げしました」というPOPだ。子会社が価格調査しており、競合店が特売価格を出せば、同じ商品はすぐにその価格にまで値下げをしてしまう。