OlympicPhoto:Diamond

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、コロナ禍によって大打撃を受けた業界・企業の業績の完全復活に対する期待が高まってきた。上場70社超、23業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、3月度の食品スーパー編だ。

Olympic独り負けの真相を探る

 食品スーパーの主要4社が発表した3月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯ライフ(ライフコーポレーション)の既存店売上高
 3月度:前年同月比100.1%(0.1%増)

◯マルエツ(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
 3月度:同99.7%(0.3%減)

◯いなげやの既存店売上高
 3月度:同101.5%(1.5%増)

◯Olympic(オリンピック)の既存店食品売上高
 3月度:同88.7%(11.3%減)

 ライフといなげやが前年実績を上回った一方、マルエツとOlympicは減収となった。なお、3月度だけでなく2月度、1月度の業績も踏まえた直近3カ月の平均値を見ると、4社とも前年割れしていた(詳細は次ページの「天気図一覧」へ)。ただし、ライフといなげやとマルエツの前年割れは軽微だった一方、Olympicは88.7%と落ち込みが目立った。

 19年以降、新型コロナウイルス禍の影響を受けて業績を悪化させた業界が多い中、小売業界は巣ごもり需要が追い風になった面と、行動制限による逆風の両面の影響を受けている。そのため、コロナ前の実績と比較した「実態値」を確認していくことが重要だ。

 次のページでは、4社の実態値を深掘りして分析する。すると、Olympic独り負けの深刻度が明らかになった。また、その要因を探ると群雄割拠の食品スーパー業界の厳しい状況が見えてきた。