二宮涼太郎にのみや・りょうたろう/1997年東京大学文学部卒業、三菱商事入社。米国でのセメントや三菱商事のリスクマネジメント部を経て、2015年にオーケーに出向。16年1月に同社に入社し、6月から代表取締役を務める。ネクタイはオーケーカラーのオレンジ。 Photo by Kazuki Nagoya

「毎日が特売」をウリに急成長するスーパー、オーケーが5月17日、銀座への出店を発表した。庶民派スーパーと高級ブティックの立ち並ぶ繁華街の掛け算で、何が起こるのだろうか。都心への出店攻勢を強めている真意を二宮涼太郎社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 下本菜実)

銀座の一等地600坪の新店で大勝負
関西への出店にも「自信」あり

「競合店に対抗して値下げしました」

 オーケーの店内には、こんな表示のある値札が出現する。他店よりも1円でも高ければ、同額となるように値下げを行い、徹底的に「お客様に損をさせない」ことを貫く。

 オーケーは、神奈川県横須賀市や東京都八王子市、さいたま市などを通る環状道路、国道16号線内に出店を進めてきた。現在では、1都3県に約140店舗を展開し、割引サービスを受けられるオーケークラブの会員数は677万人を突破した。

 2023年秋にオーケー銀座店が開店する場所は、商業施設「マロニエゲート銀座」地下の2フロアだ。1階から4階には、ユニクロのグローバル基幹店である「ユニクロTOKYO」が入り、買い物客で賑わう。店舗の延べ床面積は600坪とオーケーのなかでも大型の店舗となる。

 ディスカウントスーパーとして成長してきたオーケーと、銀座の街は異色のコラボレーションとみられている。

 ただし、オーケーが都心に出店するのは初めてではない。

 22年10月に港区・芝に「札の辻店」をオープン、24年春には中央区・日本橋に地下1階、地上2階からなる「日本橋久松町店」をオープンさせる。都心進出はオーケーの成長戦略にどう組み込まれているのか。二宮涼太郎社長に聞いた。

――食品や日用品の値上げが続いていますが、値上げは一巡したのでしょうか。消費の傾向はどのように変化しているのでしょう。

 残念ながら、まだこれから価格が上がる商品があります。例えば、小麦は4月に値上げされました。その影響を受けて、7月以降にパンが値上げされます。ただし、オーケーとしては、値下げができる商品はしっかり下げていきたいと思っています。

 お客様の傾向としては、やっぱり節約志向にあると見えます。とはいえ、高い商品が売れないわけではないので、メリハリをつけてお買い物をされているのだと思います。

――どのような経緯で、銀座への出店が決まったのでしょうか。