国民に人気の野党指導者は刑務所に入れられている。別の主要政党の選挙資金は差し押さえられた。これは、総選挙実施まで2週間を切った世界最大の民主主義国家、インドでの話だ。一方、世界最古の民主主義国家である米国のインドへの投資意欲は高まり続けている。米国の企業はインドに熱い視線を注ぐ。世界銀行によると、インドの2024年の経済成長率は7.5%となり、世界全体の3倍超の伸びとなる見通しだ。政治の混沌(こんとん)も目立つインドについて外国企業はこれまで不満を抱くことが多かったものの、インドは経済では2030年までに世界3位の大国になるとの予測がある。インドでは5年に1度の総選挙が間近に迫る。与党のインド人民党(BJP)は前回選挙の議席獲得数を上回り、ナレンドラ・モディ首相は3期目続投を確実にするとみられているものの、インド国外では懸念も広がっている。スウェーデンに拠点を置くV-Dem研究所はインドの民主主義の度合いについて2018年、「選挙独裁主義」との分類に格下げし、モディ首相が3期目になれば、民主主義がますます後退するとみている。米政府が資金を出す調査団体フリーダムハウスはインドの自由度について「部分的自由」との判断を示しており、BJPは政府機関を利用して政敵を標的にする傾向が強まっていると指摘する。